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株式会社ソーシャルデザイン研究所

DuCOM/COM3

About DuCOM/COM3

DuCOM/COM3(コンクリートモデル)は、東京大学コンクリート研究室を中心に開発している有限要素法解析プログラムです。
コンクリート構造物の非線形構造応答をシミュレーションする構造応答解析システム「COM3」と、セメント硬化体を形成する微細構造内の熱力学挙動をシミュレーションする物質平衡・移動解析システム「DuCOM」を統合したマルチスケール解析システムです。

マルチチスケール解析とは、対象となる構造物の特性や振る舞いを、微視的スケールから巨視的スケールまでの複数のスケールにおける種々の異なる過程を連成させて解析する手法。実構造物の挙動を写像したサイバーモデルを構築する、インフラメンテナンスにおけるDX化実現に不可欠な技術と期待されている。

DuCOM/COM3の開発は、東京大学コンクリート研究室(岡村甫名誉教授、前川宏一名誉教授)のもとで進められ、石田哲也教授、岸利治教授に引き継がれて現在も進行中です。開発には多くの研究者が長年にわたり貢献。敬意を表し、DuCOM/COM3の起動画面には関係者のお名前が表示されます。ソーシャルデザイン研究所も、この開発メンバーの一員です。

DuCOM/COM3の特長

DuCOM/COM3は、下記のモデルを用いてミクロ~メゾ~マクロまでを統一的に解析します。

  • 収縮駆動力モデル

    (水和反応・空隙構造・水分移動)

  • 時間依存変形モデル

    (強度発現、クリープ、乾燥収縮モデル)

  • 分散ひび割れモデル

    (ひび割れ、破壊挙動)

DuCOM/COM3は、コンクリートの製造・施工、養生、供用・維持管理、劣化進行、供用終了に至る構造物の供用期間に受けるあらゆる外力・環境作用を考慮して、コンクリート構造物の実挙動を忠実に再現できる点で、世界に類を見ない特徴を有しています。
コンクリート構造物のせん断破壊などの耐荷力評価、地震時の動的解析に基づく耐震設計、塩化物イオンやCO2など有害物質の侵入に対する耐久性評価、PC長大橋梁の長期たわみ挙動、道路床版の劣化・疲労の定量予測、地盤・コンクリートの連成解析、アルカリ骨材反応による劣化予測、セメント硬化体からの重金属の溶出評価、マスコンクリートの温度・乾燥収縮ひび割れ評価など多彩な事例に適用可能です。

  • DuCOMで平衡・移動解析が可能な物質、物理量

    温度(水和発熱モデル)、湿気、二酸化炭素(炭酸化反応モデル)、酸素(鋼材腐食モデル)、塩化物イオン、クロムイオン、ボロン(ホウ素)イオン、炭酸水素塩イオン、硫酸(SULFATE)イオン、水酸基イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、シリカイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、電場

  • COM3で考慮可能な主な外力、作用、物理現象

    静荷重(曲げ破壊、せん断破壊、圧縮破壊など)、動荷重(地震荷重含む)、疲労(水中疲労)、強度発現、温度ひずみ、自己収縮、乾燥収縮、クリープ、ASR膨張、凍害膨張、腐食膨張、火害

DuCOM/COM3では、大型計算機用のパラレルバージョンも利用可能で、256COREを搭載したLinuxサーバによる高速計算実績があります。10万節点超の大規模モデルによる動的解析を数日で計算可能です。
構造物と地盤の連成動的解析を中心に電力施設、トンネル、ダム、タンクなど様々な大型構造物の解析に適用できます。